はじめに
港区白金台にある 国立科学博物館附属 自然教育園 に行ってきました。
隣(というより同じ敷地?)にある東京都庭園美術館(訪問記はこちら)の人手の入った整備された美しさと対照的でした。
「自然教育園」であって、「庭園・公園」ではないので当たり前かもしれませんが、むしろ「いかに自然に手を加えずにおくか。」を重視している正に「森」と感じました。
都心とは思えない雰囲気が味わえます。
国立科学博物館附属 自然教育園 について
港区白金台という超一等地に残る広大な緑地です。
上野にある国立科学博物館の附属施設という位置づけになっています。
自然教育園は、大都市「東京」の中心部にあって今なお豊かな自然が残る、都会の中のオアシスともいえる貴重な森林緑地です。
園内にはコナラ・ケヤキ・ミズキなどの落葉樹、スダジイ・カシ類・マツ類などの常緑樹が広がり、ススキやヨシの草はら、池や小川などがあります。このような自然を活かした植物園が整備されており、四季にわたって様々な草花や、昆虫などの生きものを身近に観察できます。
公式サイトより
この土地には、中世に「白金長者」が屋敷を構え、その後は、増上寺の管理となったり、武家屋敷庭園として使われたり、明治・大正になっては御料地・日本軍の火薬庫等を経て、自然教育園として受け継がれているとのこと。
↑;目黒駅(徒歩9分)や地下鉄白金台駅(徒歩7分)が最寄駅。
- 開園時間;午前9時~午後4時30分(5月~8月は午後5時);入園は午後4時まで
- 休園日;毎週月曜日 (祝日・休日の場合は開園し、火曜日が休園)
祝日の翌日(ただし、土・日の場合は開園)年末年始(12月28日~1月4日) - 入園料;一般310円 18歳以下(高校生)・65歳以上は無料。
国立科学博物館附属 自然教育園を歩いてみました。
JR目黒駅から徒歩で向かいます。
以前訪問した、東京都庭園博物館の入り口を越えると、自然教育園の入り口です。
入口入ってすぐには教育管理棟があり、入場券の購入や各種展示施設・トイレ等が備わっています。
↑;入場券は自動券売機で購入。出てきたチケットを窓口に見せると「リボン」がもらえますので、それを安全ピンで身に付けます。
↑;教育管理棟内の園内ガイドマップ。ざっくりと順路や歴史をチェックしておきます。
↑;今月の園内見どころや、各種調査・研究結果等の展示が見られます。
ざっと、館内をチェックしたらいよいよ教育園へ向かいます。
↑;しばらくは北方向に向かっての一本道です。
↑;この道の両サイドには、「路傍植物園」と命名され様々な植物(野草や樹木)を見ることが出来ます。
↑;「路傍植物園」の看板。
↑;「天然記念物 及び 史跡」の碑。旧白金御料地と記されています。
↑;こんな感じでそれぞれの植物には「名前」の札が付いています。
↑;秋なので、「実」がなっているものもちらほら。
↑;路傍植物園の途中にはなだらかな土の堤(土塁)があります。昔「白金長者」の館があったころの名残とか。 石垣等ではないので、「草木の茂った丘」のような感じ。
↑;彼岸の頃の彼岸花です。
↑;園内見どころには、このように「ビューポイント」として掲示があります。これはかなり高い「シイの巨木」
↑;森林の遷移の様子が解説された看板がありました。 人工の松林も人の手を加えないと徐々に広葉樹が優勢となり、一定の所で安定していくことが書かれています。
↑;路傍植物園を観察しながら進むと、「左;水鳥の沼」、「右;ひょうたん池」の分岐が現れます。 とりあえず「ひょうたん池」へ進みます。
↑;紅葉は先です。木漏れ日と緑がまだまだ優勢。
↑;形から名付けられた「ひょうたん池」。
↑;野鳥なんかが飛来するのでしょうか。双眼鏡や大きなカメラを持ったからがチラホラ池の方をじっと眺めていました。
↑;ひょうたん池から少し北に進むと、こんな「東屋」があります。
↑;東屋は「水生植物園」に隣接しています。東屋からの眺めです。紅葉の季節はいいだろうなあと思います。
↑;東屋の隣からは、水生植物園に続く小径があります。
↑;水生植物園の園路の木橋。ちょっとしたハイキングの気分を味わえます。
↑;「水生植物園」は、水辺(湿原)の植物を観察できます。奥まで見上げても、都会のビルは見えません。
↑;水生植物園付近のあざみ。
↑;紅葉が進めば、ススキともマッチして秋の印象が強まるのでしょうが、まだ少し早かったです。
↑;狭い通路や、池の上を渡る木の橋などが、都心らしくない感じです。
園内には動物(昆虫)も数多く生息しているとのこと。
↑;ツリフネソウの花とハチ?(アブ?)
↑;蝶。
↑;たぶんカメムシの仲間。
↑;産卵前の巨大な腹のカマキリ。
他にも、田舎でしか見たことがない巨大なトンボやクモ等もそこかしこに見ることができます。
↑;森の小道(湿原沿いの道)に向かいます。
↑;森の小道の様子。 舗装されていない道が登山道のようです。(が、平坦で全く危険はありません。)
↑;森の小道の途中には「シュロ」の茂る一帯があります。 温暖化の影響かシュロが増えているそうです。「自然のままに」を趣旨とする自然教育園ですが、シュロに関しては間引いてコントロールしているとか。
↑;「森の小道」の途中には「ビューポイント」が。 分かりにくいですが、目前には細いですが流れがあり、その奥は大きな木の生えない「湿原」が広がっています。
↑;まだまだ、「緑」が濃い初秋です。
↑;「森の小道」を突き当たると、ほぼヘアピンカーブで武蔵野植物園へつながる道になります。
↑;武蔵野植物園 のベンチのある広場。 結構な人数が休憩できます。 学校の自然教育の一環で訪れる生徒・学生もいるんでしょう。
↑;武蔵野植物園を抜けて、再び水生植物園と「首都高速2号線」の間の小道を歩きます。「大蛇の松」と名付けられた松の巨木。この辺りには、いわゆる武家の庭園(松平讃岐守の下屋敷の大名庭園)があった名残だそうです。
↑;さらに進むと、水生植物園と水鳥の沼の間に「いもりの池」があります。ココも紅葉の時期なら水面と樹々のコントラストがいいんだろうなと想像します。
↑;水鳥の沼。 野鳥観察に適したポイントなんでしょうが、自分が来た時には残念ながら鳥の姿は見当たらず。
↑;絶滅危惧種の野草「トラノオスズカケ」。
↑;ここにも「土塁」が築かれており、豪族の館があったとのこと。土塁を横切る形で通路が通っているので、「堀切」状になっています。
往路も歩いた「路傍植物園」を通って帰路につきました。
まとめ
白金台にある国立科学博物館附属の自然教育園に行ってきました。
隣接する「東京庭園美術館」の整った西洋風の館や日本庭園とは対照的でした。
「教育園」であり、「庭園」ではないので当たり前かもしれませんが、「いかに自然のままに近い形を残すか」に焦点が当てられているのだと感じました。
土塁と樹々のおかげで、周辺のビルや首都高速道路の高架等はほとんど目に入りませんでした。自動車の通る音は遠くに聞こえますが、都心だとは思えないオアシスです。
他の庭園同様、おそらくベストシーズンは新緑の頃と紅葉の時期でしょうが、そうでなくとも季節の草木や、動物(多くの昆虫や野鳥)を鑑賞できる「森林」でした。