はじめに
蛇口に直接取り付ける、比較的簡易なタイプの浄水器を買いました。
カルキ臭というか塩素臭はかなり取れた気がします。
東急ハンズで売っていた残留塩素や全硬度を測定する簡易なキットで測定してみると、残留塩素の除去力は結構ありそうでしたが、全硬度は変わらないようでした。
浄水器購入のきっかけ
家族を呼び寄せるまでの間、東京で一人暮らしを開始しています。
当初、借りている部屋の水道水を直接飲むことはなく、加熱して利用していました。(コーヒーとかお茶とか、カップ麺に…)
ある日、何気なく加熱前の水道水コップに汲んで飲んでみて気づきました。
「カルキ臭い!」
そういえば、以前住んでいた地方の一戸建てでは蛇口一体型(内臓型)の活性炭タイプの浄水器を使っていました。当たり前に使っていたのであまりカルキ臭を感じたことはなかったのですが、それなりに効果があったということを実感。
それで、浄水器を買うことに決めました。
浄水器の種類
外観による違い
浄水器はいろんな会社が製造・販売していますが、見た目の違いで大きく四つのタイプがあります。
- 据え置き型
- 蛇口直結型
- ピッチャー型(ポット型)
- アンダーシンク型(流しの下にフィルターが設置されたタイプ)
アンダーシンク型には、工事が必要なものが多いので賃貸の部屋での使用を考えると、安くて簡便な蛇口直結型かなと思いました。蛇口直結型は、簡便な代わりにフィルターの寿命は短いものが多いようです。
ろ過性能・フィルターの違い
浄水器の最も重要な機能です。
有害物質やにおい物質を取り除く仕組み(主にフィルター)には、様々な種類があります。
- 不織紙;大きなゴミをキャッチする目の粗い篩(ふるい)。
- 活性炭;多数の微細な孔に、有害物質を吸着して取り除く。有機化合物や遊離塩素の除去に強い。
- イオン交換樹脂;イオン化した物質を取り除く。溶解した重金属イオン等の除去に用いる。
- 中空糸フィルター;ナノ~マイクロメートル単位の微細な孔の開いた「篩(ふるい;フィルター)」で有害物質を濾し取るもの。
- 半透膜;ナノ~ピコメートル単位の微細な孔の開いた「篩(ふるい;フィルター)」・・・海水から淡水を製造する際にも使用するような高性能フィルター。別名RO膜(Reverse osmosis membrane)
以上のようなフィルターを組み合わせて使っているものが多いです。
ただし、半透膜フィルターだけは別格(高機能であるが、値段やサイズも大きい)であり扱っている販売店・業者も少ないです。
一見矛盾する(誤解していた)半透膜の不思議
一般的な半透膜の孔のサイズは、0.5~1ナノメーターとされています。
一方、水分子は長径0.38ナノメーターとのこと。
ということで、水分子がこの膜を通過することはすぐ理解出来ます。
また、水分子よりかなり大きな高分子の有機物などは逆に、半透膜を通過する可能性はなさそうです。
でも、海水を真水にするようなフィルターですから、各種イオンも透過しないということになります。(例えば塩の成分であるナトリウム)
そこで、ナトリウム原子の半径をネットで調べてみると、なんと0.095ナノメートル・・・。水分子よりかなり小さい・・・。
えっ!、余裕で半透膜通過してしまうけど・・・。
これは間違いでした。この半径はあくまで結晶として存在する場合のナトリウムの半径。
そういえば、海水中のナトリウムは結晶として存在するわけではなく、イオン化して溶解していました。
で、化学で習ったような気がする「水和」という現象が起こっているそうです。
ナトリウムイオンはプラスに帯電しているのですが、それに極性を持った水分子が複数引き寄せられて存在しています。
で、ナトリウムイオンと水分子が一体となった「ナトリウム水和物」になると、半径は0.36ナノメーターとなり、半透膜の孔は通過しないという理屈に。
↑;水和物というところがミソのようです。
なるほど・・・ようやく「腑に落ち」ました。この理屈だけでは説明できない作用もあるそうですが、なんとなく納得です。
蛇口直結型を購入・設置
理系人間として一番惹かれるのは、半透膜(RO膜)を用いたタイプの浄水器です。
理論上、金属イオンを含むほとんどの物質を除去してしまえる点が魅力的です。
この長所は逆にCaイオンやMgイオンなどの有用とされるミネラル類すらも除去してしまうという弱点にもなってしまいます。(しかし、食事やお茶・コーヒーの味などは軟水であるほど引き立つとか。)
問題は、高価でほとんどの商品が大型のためアンダーシンクタイプです。
成長過程の子供たちと一緒に住む新居へは設置を検討したいところですが、40歳過ぎの人間にとっては、当面美味しいコーヒーが飲めればまあいいかということで、蛇口直結型(活性炭と中空糸)のタイプを購入しました。
三菱ケミカル・クリンスイ株式会社;クリンスイCSP801
↑;クリンスイの蛇口直結型。パッケージです。
↑;蛇口に設置したところ。手前のレバーで、「原水」「原水シャワー」「浄水」を選択可能。
↑;液晶画面とLEDライトが付いています。液晶画面は、浄水を使用すると、900からカウントダウンしていきます。(カートリッジ交換の目安が900L)
緑のLEDは、適切な流量の場合に点灯します。(蛇口を前回にすると消灯してしまいます。あまり流量が多いと浄水しきれないということです。)
フィルターは、
- 家庭用品品質表示法に定められた除去対象13物質
- 浄水器協会で定められた除去対象2物質
に対応しているとのことです。
肝心の味は?
味は・・・、
明らかに改善しました。
いわゆるカルキ臭さはほとんどわからなくなりました。
実際の残留塩素を計測してみました。
浄水器を設置して少し経った頃、渋谷の東急ハンズに行く機会がありました。
30年ほど前、親に連れられて東京にやってきた際に初めてハンズに入店。田舎の少年には衝撃的だった記憶があります。
で、7Fの実験コーナー的なところをウロウロしていたら、「水質検査キット」コーナーを発見。
つい買ってしまいました・・・。
↑;左が硬度を測定するキット。右が残留塩素を測定するキットです。パッケージ的には子供の実験向けか?。それぞれ5回分測定可能。 熱帯魚を飼う方なんかが水質をチェックするのにも使えるようです。
↑;残留塩素測定キットを開封すると、測定キット5回分の他に各種説明書や判定用の標準色(カラーチャートのようなもの)が入っています。
↑;測定キットのアルミ包装を開封すると、右の細長く柔らかい樹脂製の容器が入っています。よく見ると、白い粉状の試薬が入っています。また、先端には黄色い紐状物体が刺さっています。
↑;プラ容器先端に刺さっている黄色いヒモを引き抜きます。するとプラ容器先端には小さな穴が開きます。その状態で指で容器をつぶしてから先端を測定する水に漬けて指の力を抜くと、自然に水が吸い込まれてきます。
今回は、三つの水で検査してみました。
- ミネラルウォーター(いろはす)
- 水道水原水
- 浄水した水道水
↑;測定結果。左からミネラルウォーター(いろはす)、真ん中が水道水原水、右は浄水後の水。
目視での測定ですが、原水の塩素濃度は0.4mg/l程度です。これは水道水としては正常な値。
一方、ミネラルウォーターと浄水後の水道水はほぼ透明であり残留塩素はほとんどないと考えられます。
蛇口直結型の簡単なタイプでも塩素に関してはかなりの除去能力がありそうです。
同じく、「全硬度」もチェックしてみました。
キット内容はほぼ同一です。
↑;測定結果。左からミネラルウォーター(いろはす)、真ん中が水道水原水、右は浄水後の水。
硬度に関しては、水道水原水、浄水後の水道水ともにほとんど一緒です。おおよそ100mg/ml程度でしょうか。 もともと、これらのミネラル(イオン)の除去能力は謳っていませんので、当然と言えば当然の結果。
ミネラルウォーターの方が、水道水より若干硬度が低いようでした。
まとめ
蛇口直結型の浄水器を使ってみました。
簡単な検査キットでの検査ではありますが、残留塩素濃度も確実に低下しているようです。
自分専用で、コーヒーを入れる際の味を改善する程度ならば必要十分と感じます。
しかし、まだまだ成長過程の子供のことを考えると、どうしてもより純度の高い水をと考えてしまします。
純水に近い水を求めるならば、半透膜(RO膜)を用いた浄水器一択になると思います。放射性物質や、イオンのレベルまで除去可能というのはまさに「究極」だと思います。
一方、日本の水道水の安全性は一定のレベルにあるはずで、そこそこ美味しい水が飲めればいいかってことなら、活性炭や中空糸を用いた普及価格帯レベルの浄水器でも十分ニーズを満たしてくれそうです。
また、浄水器以外の選択肢として「ウォーター・サーバー」というチョイスもありかもしれません。広い自宅でサーバーの置き場に困らないならば検討に値すると思います。しかし、重たいボトルの付け替えや、宅配されるボトルの受け取りなどは面倒そうです。
最近ではウォーター・サーバー様の外見で半透膜(RO膜)を搭載した浄水器タイプというものもあるようです。
次世代ウォーター・サーバー;Cool Qoo 半透膜(RO膜)搭載サーバー
半透膜(RO膜)搭載の浄水器は、アメリカ製だったり韓国製だったりが多く、構造も複雑で自分で設置・メンテナンスをするのはかなり難しいと思います。コレならば、メンテナンスに気を遣わずに済むし、重たいボトルの交換作業も不要です。
子供たちもやってくる新居へは、こういった半透膜(RO膜)使用のサーバーを設置できればと思います。