はじめに
液晶テレビの防災(地震対策)用に、耐震(制振)ジェルを使ってみることにしました。
龍田化学の 耐震マット ~65V用 です。
素材は、建物等の耐震ダンパーにも用いられるイソブチレン系のジェル。
「備えあれば憂いなし」です。
比較検討したなかで、「耐震試験」「耐震実験」の結果をHPやサイトで実際に公表している製品を下記にピックアップしておきましたので参考になれば幸いです。
液晶テレビの耐震対策
田舎の一軒家から都内のマンションに引っ越しました。
以前の一軒家では、リビングにも余裕がありテレビの地震対策を怠っていました。
しかし、新居マンションは比較的高層階(といってもタワマンではないですが)に部屋があり、残念ながら免震構造ではないマンション。
東日本大震災時の映像を思い出しても、上層階に行けば行くほど、揺れは大きくなるはずなので危険度は増加する可能性が高そうです。
引っ越しで旧一軒家から液晶テレビが実際に到着した際、「やっぱりこれはかなり危ない。」と感じました。
液晶テレビの付属のスタンドには、固定用の金具のケーブルのようなモノが付属していましたが、それを固定するにはTVボードに木ネジでグリグリと穴をあけなければなりません。
↑;SHARPの液晶TVの取り扱い説明書から。 壁に穴をあけたり、TVボードに穴をあけたりする必要がある対策が掲載されています。
背に腹は代えられないとはいえ、新居や新しい家具に穴をあけるのは少し気が引けます。
ホーム>サポート・お問い合わせ>製品の転倒・落下対策;SHARP公式サイトより
そこで、SHARPのサイトを見ていると、公式サイト内に上記のごとく
「市販の粘着性マットで固定するのも一つの方法です。この場合、台座の形状の他に、取付け面の凹凸にも注意し、充分に粘着されていることを確認ください。粘着性マットの取付方法等については、粘着性マットの説明書などをご確認ください。」
と記載されているではないですか。
正直、これまで「市販の粘着性マット」なるものをほとんど知らなかったのですが、これならあまり既存の家具や壁を傷めることなさそうだなと思って、探してみることにしました。
耐震ジェル(地震対策用粘着性マット)について
地震対策用のマット(ジェル)は、柔らかい板状のゲルのような素材の製品です。
各社製品、どれもあまり変わり映えしないような感じですが、素材はそれぞれ若干異なるようです。
スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等、化学に疎い自分には各素材の特徴やその差は理解不能・・・。
ただし、大体各社共通する特徴は
- ゲル状(ゴム状)
- 正方形あるいは円形の板状素材
- 粘着性が高い。(しかし、粘着テープのように剥がしてもベタ付きが残らない。)
- ほこりなどが付着しても水洗いが可能で粘着性が再生する。
- 形状・大きさ等に応じて自分でハサミ等でカットして使用可能。
- 耐久年月は大体5-10年位が目安
といったところです。
各社「震度7対応!」等と製品をアピールしているのですが、実際に試験をした気配のある製品になると限られてきます。
自分なりに調べた範疇ですが、実際に「耐震試験」「耐震実験」をしてあると思われる製品をピックアップしてみました。
ELECOM 耐震ゲル シリーズ
ELECOMはPC周辺機器でお世話になっている本邦の会社。
同社も、PCモニターだけでなく各種機器にも応用可能な耐震ゲル製品を多数販売しています。
ELECOM公式サイトより
動画も公開されており、結構説得力はあります。
参照;エレコム公式サイト
サンワサプライ 透明両面粘着ゴム(大)シリーズ QL-77CL等
サンワサプライもPC周辺機器等を扱うメーカー。
耐震グッズとして複数の製品がありますが、例としてQL-77CLを挙げておきます。
サンワサプライ公式サイトより
「実験実施済み」で、「耐震グッズの耐震試験」動画も公開されています。
動画;https://www.sanwa.co.jp/movie_explain/play_movie.asp?id=6
結構派手に土台がグイングイン動くのですが、モニターがびくともしない映像がすごい・・。
参照;サンワサプライ公式サイト
プロセブン 耐震マットシリーズ
プロセブン社は、公的機関による試験・認定を受けていることを強みとし、「全省庁入札資格(90573)製品」と謳われています。
ほぼ耐震マット(ゲル)に特化した商品ラインナップですが、品ぞろえも豊富です。
また、自社で地震実験車両を持ち、各地にデモに出かけるなど創業者の熱意と本気が感じられます。
参照;プロセブン株式会社
BUFFALO 耐震ジェルマット BEQJMシリーズ
またまた、PC周辺機器メーカーのBUFFALOの製品。
実際の映像等は見つけられませんでしたが、商品紹介ページには「1000ガル耐震試験クリア」との記載。 阪神淡路大震災が600~800ガルとのことなので、まあ震度7はクリアと考えてよいのでしょうか。
参照;BAFFALO公式サイト
不二ラテックス 不動王シリーズ
不二ラテックス社 といえば、なんといっても「ゴム」製品。
そっち関係の製品だけではなく、工業向け各種ダンパー等も製造している由緒正しいメーカーです。
その不二ラテックスが作る耐震製品群が「不動王」シリーズ。
耐震ゲルだけでなく、独創的な防災・耐震用品がラインナップされています。
同社の製品は耐震試験をクリアしていると公式サイトに記載されています。
Q.震度7の実証実験とはどの程度の震度7か?
A.UR都市機構技術研究所にて、三次元方向の実験により神戸波(阪神淡路大震災の再現波)震度7の地震動に対し移動、転倒防止効果を確認しております。Q.商品の耐用年数は何年ですか?
A.耐久年数は8年です。ただし、使用環境により製品に汚れや劣化が見られる場合には、耐久年数経過前であっても早めに交換してください。Q.不動王シリーズの商品特長は何ですか?
A. つっぱり棒やL字金具、ベルトタイプの“固定”とは異なり、振動を「吸収する」ダンパー機能付きの“制震”タイプの器具である点です。
建物から家具へ伝わる地震の振動を吸収し、壁や家具にかかる負荷が軽減されるため、ビスや釘を使用しない「貼るだけ」での震度7対応が可能となりました。不二ラテックス公式サイトより
↑;実際の画像・動画等は確認できませんでしたが、試験をしっかりやっているとの記載は見つけました。
参照;不二ラテックス公式サイト
ソピー スーパー吸ちゃん
あまり耳慣れない会社名と、ポップな商品名から「んん??」となりましたが、
侮ることなかれ、しっかり試験画像がサイトには掲載されていました。ウレタン系のクリアなゲルタイプの耐震ゲル。
動画もこれ以外にも何本か掲載されていました。
カネカ樹脂 龍田化学 IB Dragon7シリーズ
株式会社カネカは本邦を代表する化学・素材の会社。 高機能の樹脂製品から、医療・健康部門、食品関連等幅広いニーズにこたえている上場企業。
カネカが製造するエラストマーをもちいて龍田化学が商品化しているのが、IB Dragonシリーズです。(IBはおそらく、素材名のイソブチレンの略?)
↑;化学は苦手ですが、他素材より物性も優れているということを示す記載もあります。
動画も含めて、他社の他素材と比較しての優位性がアピールされています。
参照;龍田化学公式サイト
我が家のTVに耐震ジェルマットを装着してみました。
↑;龍田化学の製品にしました。 5cm×5cmの正方形。厚みは5mm。 ゲル色は透明タイプ。
↑;よくわかりませんが「日本初のイソブチレン系」等という文言に惹かれます。
↑;各ゲルマットは、上下には樹脂の保護テープが貼られています。これをはがすと、プルプルとした感触で、まさに「ゲル」な感じです。ゴムよりも柔らかく、「ネチョ」っとくっつくのですが、はがせばサラサラという不思議な性質。
さて、液晶テレビは20Kg超でしたので、一人での貼り付けはなかなか難しいです。一人が持ち上げているうちに、もう一人が素早く、TVスタンド裏に貼り付けていきました。
↑;6枚の耐震ゲルを張り付けてTVボードに設置したところ。外からは耐震マットがあることはほぼ分からない状態。
試しに、手でTVを前後に揺らしてみましたが、ずれたり浮き上がったりはしませんでした。
派手に揺らすと、耐震マットを挟んだスタンドとTVボードは全くはがれる気配がないのですが、むしろTVとスタンドの接合部分からミシミシと音がしだしたので、やめました。 震度7に耐えるかどうかは別として、かなり粘着力は高いなという実感です。
まとめ
液晶テレビの防災対策(転倒対策)に、
龍田化学の耐震ゲルマット を使ってみました。
一見頼りなさげでしたが、各種試験映像からもこの手の製品にもかなりの実力があると分かりました。 なんといっても、自宅の壁や家具を傷つけることなく簡単に設置できる点が魅力です。
TV以外にも、本棚の上においてある時計とか、花瓶、PC本体や周辺機器等の精密機械類等様々なものに応用が利きそうです。