はじめに
防災用・非常用のあかりとして、懐中電灯ではなく「ヘッドランプ」を購入してみることにしました。
前回の記事で、その防災用ヘッドランプの候補一覧を作成し検討。(防災用としてのヘッドランプ選び;独断と偏見の記事はこちら)
さんざん迷ったのですが、頑丈さ・メーカーの歴史などを重視して
フランス Petzl社の PIXA2(ピクサ2)を購入しました。
ものすごく頑丈そうです。が、ゴツイ。
Petzl社のPIXA2に決定した理由
前回のヘッドランプ候補選びの記事で、製品選択の要素はいろいろあると書きました。
- 明るさ
- 配光特性
- 重量
- 電池
- ANSI/PLATOのFL-1規格
- 防水・防塵性
- 等々・・・
最終的に候補に挙げた製品はどれも気に入ったものばかりでしたが、これら要素のなかでも今回は頑丈さ(防水性含む)に重点をおいて選びました。
正直、メカ好きの自分としてはデザイン・機能的に気に入った別の製品(LEDLENSER SEO7)と最後まで悩みましたが、今回はぺツルの歴史と業務用・プロ用としての頑丈さを取りました。
Petzl PIXA2 の実物レビュー
Petzlには、日本の総輸入代理元のアルテリアという会社がありますが、オンラインショップ等を直営している様子はなかったので、通販で購入。一応取扱店の一覧の中から選びました。
7,000円前後という値段で入手。
↑;PIXA 2のパッケージ。正面には、配光パターンと「Constant Lighting」の表示。
↑;PIXA2のパッケージ側面。 ANSI/PLATOのアイコンと同一ではないオリジナルのアイコンで機能が説明されています。
↑;パッケージ側面のアイコン拡大。IP67の防水性能です。 さらに、あまり詳しくないですが、ATEXとは「防爆」の規格らしいです。(揮発性・引火性のガスや粉塵の舞う環境での使用を定めた規格らしいです。プロフェッショナル向けっぽい・・。) 2mの高さからの落下や80Kgの耐荷重試験クリアのアイコンもあります。(耐荷重試験の様子は、公式サイトに動画がありました。)
↑;PIXA 2のパッケージの裏面。 上のグラフは照射特性のグラフ。「Constant Lighting」の機能を表しています。 一般的には明るさは電池が新品の一番最初が明るく、以後ダラダラと低下していきますが、内臓の回路によって明るさを一定に保つことが出来るようになっています。 つまり強(80ルーメン)で照射した場合は、80ルーメン一定の明るさが3時間30分は保たれますが、以後は急激に低下(とはいってもまあまあ明るい10ルーメン)し、その状態が16時間維持されるということ。 この特性をしっかり表記してくれているメーカーは正直だなあと感じます。(他社でも表示してあるメーカーは結構ありますので、選択の際の一つの目安になりそうです。)
↑;Petzl PIXA2のパッケージの中身一式。取り扱い説明書(シート)が2つ。本体。ヘルメット装着用のパーツが一ヶ。ヘッドバンドが一ヶ。単三アルカリ電池が2本でした。
↑;取り扱い説明書は2つ。左のATEXはさすがに個人の防災用途で必要にはならなさそう。 もっぱら使用するのは右の説明書。 PIXAシリーズ(PIXA1, PIXA2, PIXA3)共通の取り扱い説明書になっています。
↑;Petzl PIXA2の取り扱い説明書を展開。 説明書がなくとも直感的にある程度の操作は可能ですが、やはり一読しておいた方が安心です。 LEDでそれなりの明るさがあるので、至近距離で直視するのは良くないようです。
では、電池をいれてみます。
↑;Petzl PIXA2の本体はこんな感じです。 スイッチ類は、左のダイヤル式一ヶのみでシンプル。 そのダイヤル式スイッチも手袋装着時でも操作が容易な大き目かつ突起が付いたものとなっています。
↑;本体とヘッドバンド接続用のパーツとはぐるぐる回転するようになっています。電池交換の際は、180度ぐるりと回転させます。
↑;黄色のパーツの爪をはずすとクリック音がしますので、カバーを開けます。
↑;単三アルカリ乾電池2本を使用します。(一般論として、防水性能・気密性の高い電気製品には、エネループ等の充電池は使用しない方が良いようです。条件によっては水素ガスが発生し爆発・引火の可能性があるとか。)
↑;Petzl PIXA2。ヘッドバンドを装着せずに、「床面等においても使えますよ」と説明書にはイラストがあります。
とは言え、ヘッドランプですからヘッドバンド着けてみます。
↑;本体とヘッドバンドにはそれぞれ樹脂製のパーツがあって、そこにある溝に差し込むだけでOKです。
↑;Petzl PIXA2。 こんな感じで溝にそってはめ込んでいきます。
↑;しっかりバンドと固定されました。
↑;Petzl PIXA2の上下の照射角度の調節。水平からほぼ真下までほぼ、無段階に調節可能です。
さて、本体のDetailをもう少し見てみます。
↑;Petzl PIXA2のダイヤル式スイッチ部。 繰り返しになりますが、スイッチはこれだけ。Off・弱・強 の三段階をねじって設定するだけです。 黒色の本体部同様に柔軟性のあるゴムっぽい樹脂で突起のあるスイッチなので、実際に頭に装着してスイッチが直接みえない際も操作が簡単です。
↑;Petzl PIXA2の透明なレンズカバー部。 黄色い硬質な樹脂が本体の骨格をなしていますが、レンズ周囲は黒色の柔軟性のある樹脂で覆われています。高所からの落下に耐える造りです。
↑;Petzl PIXA2。 LEDは一ヶ。 複数のLEDを装備する製品(遠距離・近距離や暖色、赤色等の複数持つ製品)に比べるとシンプルではあります。 おそらく、PIXA1, PIXA2, PIXA3ともに、この頑丈なBodyは同一で、中のLEDユニットが製品毎に異なってくるものと思われます。
↑;Petzl PIXA2のレンズカバー部を別角度から。 カバー部は窪んでいる(というより、周囲の樹脂部が盛り上がっている。)造り。落とした際に、レンズカバーが破損する可能性を低減しています。 これ何かと似ているなあと感じていたのですが、・・・そうCASIOのG-SHOCKでした。同じく頑丈さが売り。
↑;Petzl PIXA2の電池ボックスカバー部分。 樹脂パーツが肉厚。 また、防水・防塵・防爆の要であるパッキンもとてもがっちりしています。
次いで、実際に点灯してみたところです。
↑;何度も繰り返しですが、操作は極めて単純。一番上がOff。中が弱。下が強。
↑;Petzl PIXA2。 80ルーメンの明るさの「強」で、1m程度先の壁面を照らしたところです。周辺のほぼ円形の拡散光の真ん中より少し上にスポット光が設定されています。 これはLED2灯で作り出されているわけではなく、1灯で光学的に(レンズやリフレクターで)に配光しているようです。
↑;明かりを横から撮影しても、中心軸よりやや上よりに収束した遠距離用の光が見えます。
↑;Petzl PIXA2を頭に装着。 暗がりにて、弱(20ルーメン)で手元をてらしてみました。十分な明るさです。
↑;Petzl PIXA2を装着した図。 分かりにくい写真になってしまいましたが、正直本体サイズは結構大きいです。 小柄な女性や子供だと、150g超のこの製品は少し重く感じるかもしれません。
さて、ここからはいくつか手持ちの照明との比較をしてみました。
↑;小型のフラッシュライトLEDLENSER P3(右)との比較。 これは用途も大きさも異なり比較に意味はないかもしれませんが、PIXA2の80ルーメンは、P3の25ルーメンよりやはり光量多そうです。(LEDLENSER P3の記事はこちら)
↑;今度は登山(というかハイキング)で使っているMont bellのヘッドライト(左)と並べてみました。 Petzl PIXA2の圧倒的な質量感や、頑丈さが伝わると思います。(が、その代わり当然重量はあります。)
↑;Petzl PIXA2(右)とモンベルのヘッドランプ(左)の比較。 電池ボックスを開けてみました。 本体樹脂部の厚みや、防水・防塵性を保つパッキンのしっかり度もかなり違います。(モンベルのヘッドライトの防水性能はIPX6。PIXA2はIP67)
まとめ
防災用のヘッドランプとしてPetzlのPIXA2を購入しました。
- 期待以上の頑強そうな造り
- シンプルな操作系
が気に入っています。が、その反面でありますが結構重め…。子供用の防災持ち出し袋には入れにくいかもしれません。(本来、子供の方が懐中電灯よりヘッドライトが適している気もしますが)
今回はPIXA2を選びましたが、例えば避難所での生活等を想定するならば、手元の明かり重視で明るすぎない「PIXA1」の選択肢も十分ありだったかなと思います。