はじめに
文京区にある小石川後楽園にいってきました。
一部工事中の箇所もありましたが、広大です。ベンチも比較的多くあって、木陰でのんびりできます。
中心の池を回遊するタイプの代表的な日本庭園です。が、設計においては明(中国)からの亡命者 朱 舜水 の影響を大きく受けているとのこと。 意外でした。
追記;紅葉シーズンにも訪問してみました。文末に少し写真を載せています。
小石川後楽園について
1629年 初代水戸藩主 徳川頼房 が作庭を開始。
その後、水戸藩二代目藩主 水戸光圀 の代にて完成した公園です。(水戸黄門で有名な)
当時の明(中国)から亡命してきた儒学者 朱 舜水 も設計に大きく関与したそうで、園内各所には中国風の名前の付いたエリアが多数あります。
また、小石川後楽園は、全国でも数えるほどしかない「特別史跡」と「特別名勝」の重複指定を受けた施設です。
最寄り駅は
- 都営地下鉄大江戸線「飯田橋」 徒歩3分
- JR総武線「飯田橋」 徒歩8分
- 東京メトロ東西線・有楽町線・南北線「飯田橋」 徒歩8分
- 東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園」 徒歩8分
- 開園時間;午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで)
- 休園日;年末・年始(12月29日~翌年1月1日まで)
- 入園料;一般 300円 65歳以上 150円(小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料)
小石川後楽園を散策
中央線・総武線の飯田橋駅で下車して公園に向かいました。
↑;神田川沿いを少し歩いてから北上すると西門に到着。
↑;「特別名勝」と「特別史跡」のダブル受賞施設は日本全国でも限られているそうです。
↑;門を入ると奥につながります。一部工事(修復)中の案内があります。
↑;右手で300円を支払って入場。左手には涵徳亭(かんとくてい)の入口。団体での予約客が優先ですが、予約がなければ一般客も利用可能。お茶・お菓子などを頂けるそうです。
↑;園内の案内図。中心に「大泉水」という名前の大きな池があります。その周囲を歩いて散策していきます。「反時計回り」にめぐりました。
↑;周辺案内図。 東京ドームに接しています。実際、園内のいろんなところからドームが見えてしまいます。
↑;この方が初代水戸藩藩主の 徳川 頼房。 家康公の11男だそうです。小石川後楽園の作庭を庭師 徳大寺左兵衛 に命じました。
↑;水戸藩二代目藩主 徳川(水戸)光圀。 小石川後楽園の整備を進めて完成させたとされています。 いわゆる「黄門様」ですね。
↑;中国(明)の儒学者。明から日本に亡命してきていたそうです。 水戸光圀に招かれて、「後楽園」の名付け親とされています。
「先憂後楽」とは・・・人の上に立つものは、人々よりも先に国のことを心配し、人々が楽しんだ後で自身も楽しむべきだということ。「天下の憂いに先んじて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」という北宋の范仲淹が言った言葉を略したもの。
先憂後楽の人でありたいものです・・・。もっぱら先に楽しんで後で後悔し(略・・・)
さて、入口でいろいろと予備知識を仕込んだら、入場用300円を支払って散策開始です。
↑;飛び石や、石の階段など雨の跡などは滑りやすいので注意を。
↑;公園に入ってすぐは、少し開けた広場になっています。左奥には、笹で覆われた小さな丘があり、「小廬山」と呼ばれています。廬山は中国の名所でありそれを模したものとされています。
↑;大泉水を左手に見ながら、反時計回りに進みます。 すると右手には登りの石階段です。「西行堂跡」への道。登っていきます。
↑;昔はお堂が立っていた場所ですが、現在は基礎部分しか残っていません。江戸時代に、「西行法師の木像を安置したことから西行堂と名づけられた」とありました。この堂は戦災により焼失したそうです。
↑;また順路に戻ります。大泉水(庭園中央の大きな池)が近いです。(奥にはドーム球場)
↑;「駐歩泉」という名の石碑。西行の和歌にちなんだものと。
↑;公園の南西部の流れ。「竜田川」と命名されています。そこそこ流量もあって、渓流の雰囲気が出ています。
↑;大泉水を眺めることが出来るベンチが多数設置。頭上には青もみじです。秋は最高でしょう・・・。写真右手には「龍田川」の流れ。
↑;ベンチ付近から大泉水を眺めます。池の真ん中には「蓬莱島」があります。都内の他の大名庭園でもよくあるモチーフです。中国の伝説的な仙人が住む島とされているとか。大きな平らな石は 徳大寺石。ベンチで一休みしてから奥に進みました。
↑;急に薄暗い林に入った感じになります。 この石畳は中国風のもので「延段」。延段の右手に再び流れがあり、こちらは「木曽川」と命名されています。延段は内庭まで続いています。
↑;延段を内庭へ向かうと、右手に分岐する階段があります。「白雲台」への道です。ちょっとした高台になっていましたが、展望はありませんでした。
↑;シュロの木が生い茂る一帯があり、「木曽山」と名付けられています。
↑;内庭の池から「木曽川」へ向けて若干の高低差がある流れがあります。「寝覚の滝」です。高低差は微々たるものですが、せせらぎの川音に癒されます。本家「寝覚ノ床」は木曽川の名勝ですが、それに関連付けたもののようです。
本家は、浦島太郎が「寝覚ノ床」で玉手箱を開けて”夢から「寝覚め」た”との伝説があるとか。
さて、急に開けて内庭に到着。一部工事中。
↑;内庭は、昔は後楽園本体とは別のお庭だったそうです。大泉水とは別の蓮が浮かぶ独立した池があります。
↑;ちょうど、白い蓮が咲いていました。
↑;普段は閉じられている東の門。
↑;内庭を別角度から。外国人観光客の方も池周囲のベンチでゆっくりくつろいでいます。日本的な景観です。
↑;大泉水の南東側から池の真ん中の蓬莱島と徳大寺石を見ます。 これぞ和風庭園といった趣です。
↑;蓬莱島の真ん中には赤い祠があります。「弁財天」が祀られています。ちなみに蓬莱島には渡れません。
↑;大泉水をひたすら反時計回りに回遊していくと、松の木の広場と奥にかやぶきの小屋が現れます。「松原」と「九八屋」です。
九八屋;江戸時代の風流な酒邸の様子を現した。この名の由来は「酒を飲むには昼は9分、夜は8分にすべし。」と酒のみならず、万事控えるを良しとする、との教訓による。戦災により焼失したが、昭和34年に復元した。
松原の北には向かいます。
↑;田端。 田んぼです。 水戸光圀公が作らせたそうですが、現在では区民の小学生が田植えをしているそうです。
↑;庭園の北東を横切る形の「神田上水跡」です。井の頭公園を源流としてここまで流れ着いていたとは。
↑;庭園の北の端の高台にのぼると、「八卦堂跡」。 ここも土台(基礎)部分のみ残る遺跡です。
↑;八卦堂跡付近は高台になっているため、見晴らしがよいです。先ほどの神田上水跡を眺めます。 都内とは思えない風情ある光景です。
↑;神田上水跡には、人のすぐ近くでカモが泳いでいました。
↑;神田上水跡に架かる「円月橋」です。 これも中国風の趣です。
光圀があつくもてなした明の儒学者 朱舜水 が設計したといわれる石橋。水面に映る様子と合わせると満月のように見えるので、この名がつけられました。(現在は渡れません。)
↑;うっそうとした森の中にたたずむ「得仁堂」です。やはり、中国文化の影響を受けた光圀が作らせたもののようです。
この建物は、光圀18歳の時、史記「伯夷列伝」を読み感銘を受け、伯夷、叔斉の木像を安置した堂です。得仁堂の名前は孔子が伯夷・叔斉を評して「求仁得仁」と語ったことによります。
↑;高台に架かる「通天橋」。薄暗く深い渓谷に朱色の橋。これは中国のモノを模したのではなく、京都 東福寺の通天橋 に倣ったとされています。
↑;幅のある浅瀬の川が再現されています。「大堰川」です。 これも京都嵐山の「大堰川」を倣ったもの。 両岸に石の河原も再現されていて、それらしい雰囲気が出ていると思います。
↑;大堰川の「下流」方面は開けた池になっており、中国の世界遺産の西湖とそれを二分する「西湖の堤」が再現されています。 ここは中国風のモチーフで、「芝離宮恩賜庭園」にも同じ「西湖の堤」あります。
↑;本物の中国・杭州の「西湖」とその堤。湖を分断しています。
↑;庭園をほぼ一周し、「小廬山」まで戻ってきました。奥の笹に覆われた小さな丘が「小廬山」。手前は蓮池です。ちらほら咲いていました。「廬山」も中国の名勝地。
↑;うすピンクの蓮の花。
これで庭園一周。帰途につきました。
・・・が、家に帰ってから大事な名所「白糸の滝」を見落としていたことに気が付きました・・・。
広大な公園故に、一周したつもりが、中心にある滝がすっかり抜けていました・・・。
今度、訪れる際にはまず一番に向かわねば。 秋の紅葉に再訪します!。
↑;公式HPより。 人工の滝とは思えない。結構きれいではないですか。これを見落とすとは・・・。
まとめ
文京区にある小石川後楽園にいってきました。
都内にある他の日本庭園(大名庭園)と同様に、中心に池を持ち、周辺を回遊するという様式は一緒ですが、なんといっても広大でした。
もちろん「築山(つきやま)」という小高い丘が、各所に散在しており頂上からの眺めも楽しめます。
また、他の庭園にも取り入れられている「西湖の堤」や「蓬莱山(島)」など、当時の庭園に共通するモチーフを比較するのも結構楽しいなあと思います。
夏場の暑い時期だからでしょうが、人はそう多くありませんでした。
木陰に多くのベンチも設置されており庭や池をのんびり眺めてゆっくりするにはいいところです。
今回、名所「白糸の滝」を見落とすという失敗をしてしまいました。紅葉を季節にもう一度探索しに行きます。
追加;秋の小石川後楽園の様子
11月下旬、紅葉狩りに行ってきました。
週末でもあり結構な人出でした。
↑;枝の先端から、赤・黄・緑のグラデーションで紅葉が進んでいます。
↑;小廬山の手前の蓮は夏場と異なり枯れてしまっていますが、その代わりに鮮やかな赤い紅葉が見られます。
↑;「大堰川」周辺の紅葉。 ここも高台から眺める抜群の光景です。
↑;ふと見上げると、このような「赤・黄・緑」の素晴らしい色の紅葉が見られます。
↑;池の奥に蓬莱島を眺めます。 散在する真っ赤なもみじがきれいです。
夏の新緑もきれいですが、やはり秋の紅葉は格別でした。300円は格安と感じます。お勧めです。