はじめに
40歳を(とっくに)過ぎて歯科矯正を始めることにしました。
- 四十過ぎて歯科矯正って大丈夫なのか・・・。
- 実際どんな感じなのか。
あまり読んでくれている方の参考にならない予感もしますが、記録代わりに記事を残しています。
長期間になりそうですが、暇があれば書き続けていきたいなと思っています。
矯正歯科の話のまとめ・索引はこちらです;40歳からの「歯科矯正」記事;まとめ&Index.
歯ぐきのネジ(マイクロインプラント)は、これまでは自分でもすでに処置後の「刺さっている姿」しか知りませんでした。
しかし、今回訳あって「抜けてしまったアンカースクリュー」が手元にあるので実物の写真でお見せします。(想像していた以上に「長くて」ビビりました。こんなもんが刺さってるのかと思うと驚きますが、今となっては全く痛みもなく過ごせています。)
また、これまで口腔内に入れた装置類も総括してみようと思います。
マイクロインプラント(歯ぐきに打ち込む・ねじ込む金属製のネジ)の実物;大きさ等
私のつたない記事を読んでくれている方はご承知の通り、自分の口の中には現在4本の金属ネジが歯ぐきに刺さっています。
初診時から、このインプラントの必要性は院長先生から聞いていたのでそれなりに覚悟はしていましたが、いざ処置(手術)の日には結構ビビっていた記憶があります。
が、実際の処置は局所麻酔がしっかり効いていてそれほどでもありませんでした。(ただし麻酔が切れて数日は少し痛みが残りました。)
参照;40歳過ぎからの「歯科矯正」その09;歯ぐき(あごの骨)にネジ(アンカースクリュー)を入れました。
自分が知っているのは、「すでに歯ぐきに埋まったネジの頭だけが飛び出している絵」だったので、実物のネジがどんなものかは今一つ分かっていませんでした。
↑;現在、上あごに刺さっているネジ(マイクロインプラント)4本の位置。 左右奥歯(臼歯)の内側と、左右前歯(切歯)の外側(というか上)にあります。いずれにせよ「頭だけが歯ぐきから飛び出た図」になっています。
↑;それぞれのネジを拡大してみました。奥歯のネジと前歯のネジは少し形状が異なるようです。奥歯のネジはネジ頭が扁平で十字に切り込みがありますが、前歯のネジはそれがありません。
今回、自分ではないのですが「抜けてしまったネジ」が手に入りました。おそらくは奥歯に刺さっているタイプのネジ。
まあ、思っていたよりも「長い」ことに少し驚きました。以下、その抜けてしまったアンカースクリューの写真です。
↑;一円玉と並べて。まあ、一見いわゆる「ネジ」です。 普通のネジと異なるのは、ネジ頭の下に皿状に広がっている面がある点(歯ぐき表面で止まるストッパーの役割がありそうです。)
↑;ものさしで計測してみました。 長さは約10mm。 ネジの直径は約2mm程度の様です。色調はガンメタル?っぽいか。
さて、このネジの埋め込み術(インプランテーション)はスキルの高い術者が実施しても自然脱落してしまう例が10-20%程度あるとか。
自分の場合4本埋め込んだので、今のところ四本とも残存しているのは結構ラッキーかも。(と思っていたのですが、埋め込みから8か月経過しての診察で前歯のネジの一本が、ぐらつきつつあることを指摘されています。)
自分の中では、ネジ部分は人工関節?のように生体(骨)となじむような素材でできているのかもと思っていましたが、金属丸出しのネジでした。
たしかに考えてみれば、「あくまで一過性に使うネジ」なので、逆に生体適合のネジだと抜けなくなる恐れがあるよな・・・と理解。
以上、ネジのご紹介でした。もう一度やれと言われたら、やっぱり嫌です・・・。
ネジ無しで治療するのに昔(今も?)使っていた「ヘッドギア」の図
ちなみに、口腔内の固定源(マイクロインプラント等)が使えない昔に固定源としてつかっていたヘッドギアという装置があります。
これは、昔幼少期に治療を挫折した際に、歯科医から「こんなのを装着しなければいけない。」といったような説明を受けて、子供ながらに「絶対こんなのイヤだ」と思った記憶があります。
↑;まあ、これを長時間装着するぐらいならば、歯ぐきにネジを入れられた方がましかなあと。
これまでに装着した装置類のまとめ
さて、ここからはこれまでに口腔内にいろんな装置を入れてきましたが、それをまとめてみました。
セパレーター;青ゴム
これは最初に入った「装置」ということになります。ただし、ただの輪ゴムですが。
目的;歯と歯の間を広げて、金属の輪っか(正式には「バンド」という名称)みたいなものをはめ込む隙間を作るため。
自分の場合は、上下2歯間だったので合計4か所に装着。
装着時・抜去時はそれほど痛みはありませんでした。
「青ゴム」は「ただのゴム」ではありますが、「歯を動かす力を持ったゴム;歯間を広げる」ものなので、移動に伴って一定の痛みが出現するとされます。 しかし、幸い自分の場合は痛みはほとんどなく、「歯に物が挟まった違和感」だけで済みました。
自分の場合は、装着期間は約1週間~10日。 装着回数は期間を開けて2回でした。 一回目装着後に、自分の歯に大きさを合わせたぴったりのバンド(奥歯にはめ込む金属の輪っか)を作成します。 その作成期間にせっかく広がった歯間が閉じる?ので、再度二回目のゴムで歯間を広げて作成した金属の輪っかをはめ込む流れでした。
まれに、歯間が広がってゴム自体が自然に脱落してしまうこともあると説明を受けていました。脱落してしまってから次の診察まであまりに時間が空いてしまうとせっかく広がった歯間が元に戻ってしまうため、連絡をくださいと言われていました。 幸い自分の場合は脱落はなく経過しました。
↑;歯科材料屋さんのサイトから。 丸い部分を切り離して、歯と歯の間にはめ込みます。縮んでいるときは直径5mm程度らしいです。
↑;青ゴム(セパレーター)を装着した後の写真。 こんなゴムで歯間が広がるのかと思うのですが、広がるんです、実際。
↑;広がった歯間を使って、奥歯に金属の輪っかがかぶさりました。
青ゴム装着に関して詳しくは以下の記事で。
40歳過ぎからの「歯科矯正」その03; 再度の苦手な型取りと、「青ゴム」装着
バンド;奥歯にはめる金属の輪っか・・・様々な装置の起点・基礎となるもの
これは青ゴムの項でも紹介しましたが、奥歯にはめる金属リングです。
自分の場合は、
- 上の左右の第一・第二大臼歯 計4ヶ
- 下の左右の第一大臼歯 計2ヶ
で、合計6ヶ(6輪)が奥歯にはまっています。
この金属リングは、正式には「バンド」とよばれます。 この輪っかだけでは意味がなくて、この輪っかにアタッチメント(ブラケットとか、バッカルチューブとか)をくっつけてそれをワイヤーやゴムで連絡することで歯を動かしていきます。
↑;バンドの写真。 左のようなただの輪っかではあまり役に立たないので、、右のように「チューブ」といわれるような装置を溶接したもの等を使います。
実際の自分の場合を見てみます。
↑;奥歯に被せたリング状・帯状の金属には突起のような装置が付いています。これはワイヤーを通す「チューブ」なる装置。この突起はよく見るとワイヤーを通せる穴があります。チューブというと長細い管状の装置を想像しますが、一見金属の塊の様です。
そして、自分の場合は下あごのバンドにやもう一つ役割がありました。下あご(の奥歯)を広げるワイヤーの作用点となる役割です。それは次の項に記載します。
参照;40歳過ぎからの「歯科矯正」その07;ついに矯正装置装着へ。
下あごの奥歯を左右に広げるバネ;正式名称は・・・わかりません。
下の左右の奥歯をアーチ状につないでいる、太い針金があります。常に外側に広がる方向に力がかかっています。
↑;この写真もしばしば使ってきましたが、発達の悪い狭い下あごを左右に押し広げるためのデバイスです。青矢印のアーチ状のバネで左右のバンドがかぶさった奥歯を広げています。(黄色矢印がバンド)
↑;下の左右奥歯をつなぐ太い針金。別角度からです。よく見ると、奥歯(第一大臼歯)だけでなくて、その手前の二つの歯(第一小臼歯と第二小臼歯)も一緒に外側に押し出されるように太いワイヤーが仕込まれています。
顎が広がるって、そんな簡単にいくものか?? と思いますが、実際ゆっくりですが広がるんですよ。ぐちゃぐちゃだった歯並びをうまく並べきれるぐらいのスペースが作られていきます。
ブラケット類;アーチワイヤーをそれぞれの歯に固定する装置
前歯(切歯)や犬歯、小臼歯等にはそれぞれ「ブラケット」とよばれる小さな装置が接着剤で装着されました。自分の場合は、
- 上あご;内側矯正
- 下あご;外側矯正
を選択。 そういうこともあり、結構いろんな種類のブラケットを装着しています。
ブラケットは用途や審美性に応じて多くの種類があります。自分の場合は審美性はあまり重視しない方針でした。が、結果としてあまり目立たないで治療できていると思います。(感じ方は人それぞれだと思います。)
素材別で言うと
- 金属(メタル)ブラケット;強度があるので薄く小さくできるが、審美性は悪い。
- セラミックブラケット;金属よりはやや大きく・厚くなってしまうが白色・半透明にできて外側に装着した際の審美性は高い。素材としてはむしろ金属より硬度が高い。(これはメリットでもありデメリットでもある。硬すぎると歯と接触すると歯が削れることもある。)
- 樹脂製ブラケット;強度はやや劣るが、白・透明等審美性は良い。
といったように分類可能なようですが、最近ではそれぞれのいいとこどりのような素材のブラケットもあるようです。
また、専門的になってきて理解が難しいのですが、機能的には
- セルフライゲーション(直訳すると自己結紮)ブラケット
- ゴムやワイヤーでアーチワイヤーと接続するブラケット
に大まかに二分できます。 以前は後者が主流だったものが、近年セルフライゲーションのシステムが出てきたようです。
簡単に言うと前者はワイヤーとブラケットの「滑り」が良くて(摩擦抵抗が少ない。Low friction)、弱い力でも歯の移動が良好になる仕組み。・・・セルフライゲーションでなくとも術者の腕次第ではそのあたりはカバーできるとの記述も散見されますが。
また、セルフライゲーションブラケットを使うと、リガチャーワイヤーやゴムでグリグリとワイヤーをブラケットに固定する必要がないので診療時間は短く済むそうです。(異論もあるようですが)
ブラケットは「単にワイヤーを止める金具」ではないようで、様々な機能面を考えられて作られているそうです。次項の「アーチワイヤー」でも記述しますが、アーチワイヤーは「軸方向のねじれの力」つまり「トルク」も歯の移動のために利用しているのですが、それを担うのは「太くて断面が長方形のアーチワイヤー」と「適切に角度を付けたスロットを持つブラケット」が必要になってくるとのこと。
この辺りは専門的すぎて正直理解できません・・・。詳しく知りたい方は「矯正歯科」「トルク」「トルクコントロール」等のワードで検索をすると出てきます。
さて、自分がこれまでに装着したブラケットを見てみます。
まずは、下の歯の外側からです。
↑;上下の写真共に、下顎の外側のブラケットの様子です。上の写真は治療開始当初の細くて丸い断面のワイヤーで矯正しているときです。その際は、白い樹脂製のキャップでアーチワイヤーを固定しています。(おそらくは、Low frictionという状態でワイヤーとブラケットの摩擦が少ない状態だと思います。 一方下の写真は、最近になって装着した「太くて断面が四角いアーチワイヤー」になってからの様子です。 細いアーチワイヤーを固定していた樹脂のキャップではなく、極細の「リガチャーワイヤー」でアーチワイヤーが固定されています。 確証は持てませんが、四角い断面の太いワイヤーを使用しているのであれば、一定のねじれ方向の力(トルク)もかかっているのかなあと想像しています。ちなみに切歯や犬歯のブラケット本体は透明?に近いようで、金属のメカメカしさはそんなにきつくないかなと思います。あまり外からは見えない小臼歯より奥の歯は金属性のブラケットの様です。
続いて、上の歯の裏側のブラケットの写真です。
↑;上の歯(出っ歯)の内側(というより当時は下側)についている金属性のブラケット。上あごのアーチワイヤーは最初から極細のリガチャーワイヤーでブラケットに固定されていましたので、いわゆる「セルフライゲーション」というタイプではないように思います。 上あご外側の装置に比べると、大きいし金属感が著明です。 外側との大きな違いは、ブラケットが直接歯に接着されていない点です。ブラケットと歯の間には「土台」が接着されています。
↑;同じく上の歯の奥歯のブラケット。 前歯のものに比べるとかなり大きくて複雑な形状です。
↑;内側なのでしっかり見えませんが、写真と照合すると多分こんなブラケットが装着されているのだと思います。 スペイン、Ormoco社製の製品らしい。アメリカのKurz博士や日本では藤田博士あたりが内側矯正をはじめたのが、1970年代頃と。内側矯正って結構歴史はあるんだと驚き。
内側のブラケットは、やはり装着当初は「発音のしにくさ」が大変でしたね。現在ではかなり慣れましたが。
アーチワイヤー;丸くて細いものと四角くて太いもの・・・ただの針金ではないみたいです。
さて、最後は、歯と歯をつないでいる弓状・円弧状のその名の通りの「アーチワイヤー」です。
治療を受ける前は「アーチワイヤーとは単なる針金で、歯を締め付けて並びを整えているもの」だとばかり思っていました。
ただし、その考え方でいくと、内側矯正はできない(外側からしか締め付けられない)ことになってしまうので、アーチワイヤーってどういう意義があるのだろうかと不思議でした。
結局ワイヤーで「歯を締め付ける」という考え方が間違っていたようで、ワイヤーのキレイな弓の形をガイドにして「歯を引き寄せる」というか「歯を並べていく」という表現の方が近いようです。
弓状という「二次元方向」への操作だけでなく、「高さ方向」やワイヤーのねじれが戻る力である「軸方向(トルク)」すらも調節して歯の位置を微妙に動かしています。 奥が深い。
治療を受けていく過程で、院長先生から「徐々にワイヤが太くなってきます。」とは聞いていたものの、その形状や断面の形までも変わっていくとは知りませんでした。
確かに、自分の写真も見返してみると、当初の細い断面が円形と思われるワイヤー「●」から、太くて断面が四角形と思わるワイヤー「■」になっていることが分かりました。
↑;下の歯の写真。左は初期の細いワイヤー。右は後期の太いワイヤー。わかりにくいですが、右のアーチワイヤーはよく見ると四角い断面をしています。(エッジが立った様子)
↑;自分の上のあごの内側のアーチワイヤーです。左は初期の細い柔らかいもの。右は最近の太く硬いアーチワイヤー。上あごは下あごと異なり裏側矯正であるためか「きれいな弓状」はしていません。左右途中でノッチが形成されています。
人のあご(歯並び)の形はそれぞれであるので、一口に「アーチ(歯列弓)」といってもいろいろあるともいます。実際、色々調べてみると、「アーチ」にはさまざまな形と大きさあることが分かりました。結果として「アーチワイヤー」も様々な形があり、また歯科医師がねじったり・折ったりして微調整するようです。
実際、自分も院長先生がワイヤーをペンチのようなもので加工しているのを何度が見ました。歯科の先生は知識だけでなく、職人的な技も必要なのだなと改めて感じた次第です。
まとめ
歯ぐきに刺さっている「ネジ」が抜けた状態で手に入ったので、写真撮ってみました。かなりの長さに驚きです。
また、これまで自分の歯に装着した装置類を自分なりにまとめておきました。患者さんによって使う装置やそのタイミング等はもちろんバラバラでしょうが、なにかのお役に立てれば。
矯正歯科の話のまとめ・索引はこちらです;40歳からの「歯科矯正」記事;まとめ&Index.